Dragon Eye

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第一篇 - 終章

あとがき

 皆様こんにちは、夏空風癒です。
 このページを開いているという事は、大半が「Dragon Eye」を読んで下さった方という事で、本当にありがとうございます。細々とこのネットの隅っこで、時にいろいろ失敗しながら、何とか完結まで三年ちょっとかけて漕ぎ着けました。始まりから読み通すのは特に最初の辺りが読み辛くて大変だっただろうと想像してはびくびく震え、しかし直す時間と労力があるならと完結の方を優先させて頂きました。
 残り三話はがっつく勢いで試験勉強の合間に書き上げたものです。最終話だけは六章が始まった初めの頃に先に書けていたので、実質二話という事ですね。
 それでもいろいろとこの作品について思い出ができています。まだロクに調べるという事も知らず文章力が今よりも拙い(というより今でも大した事ないかもしれない)頃に始めて書き上げた長編なので、あちこちボロが。というよりガタが。いやもう破綻してんじゃんこれ、みたいなところまで行っている自覚が少なからずありますうふふふふ(遠い目)
 まぁ自分の文章力についての云々話は今までもMEMOでさんざん愚痴って来た事なのでここまでにしておいて、終わった今だからこそやっと語れる事がありますので、そちらの方でもここでぼやかせて頂きましょうか。
 えー。ぶっちゃけますと、実はこんな物語になるなんて全く予想だにしていませんでした。
 当初のストーリーは冒頭だけ話してみると、

 主人公の少女は毎日の孤児としての生活に物足りなさを感じていたところに、旅人と出会います。
 出会った旅人の強さに少女は一目惚れして、弟子にしてほしい、とお願いします。当然ながら断られます。しかしひょんなことから彼がドラゴンであると知ってしまい、秘密を守る代わりに彼に弟子にしてもらうのです。で、二人だけで旅に出るという物語でした(しかものっけから船旅)。予定はギャグとかコメディでした。兄は港町に残ってました。ついてきませんでした。ついてきたのはおそらく若干のシスコン属性が付いた故と思われます。

 …………はいそこの方、全然違うじゃないかと素直にツッコミ入れてもOKです。私も同じ事を感想として思っておりますので。
 処女作のくせにろくに構成も考えずに書きだして、今もそのスタイルは直らずそのまま完結まで無理やりしてしまった無謀な作者、いえ作者と名乗るのもおこがましいような物書きでした。まともに物語の大筋を決めるようになったのは……おそらく、三章初めを少し過ぎたあたりからでは、と思っています。その辺りからやたらに一章分が長くなり出したのですが、ちゃんと下手でも何でも必死に物語にしようと思って練りだしていたのだろう自分が思い浮かびます。
 その頃から設定も当初と大分違うものになりつつありました。ティアの過去にカーレンが深く関わっているという設定は、三章辺りになってようやく明確になってきたものの一つです。
 エリシアはティアとは双子の設定でしたが、ここで構成力がなかった私はそれでは伏線もないしいきなりだし、何よりもあちこちでちらほら散らしてきたカーレンの記憶と矛盾してしまう、と作品を読み返して頭を抱えました。
 どうしよう!?と長争いを書きながら考えている間に、ふと思いつきます。
 ダミーにしてしまえ、と。
 そうして四章でセルの元婚約者のアンジェリーナ・サシャ・ディアンが登場。偽体というファクターも出してみて、そこに味方だったのに途中から敵対キャラだったら面白いかなーと適当に二章後ろに挟んでいたブレインを持ち込みました。
 こんな訳で二人はもともと一度死んだ事にしてしまうと良いのでは……とか苦し紛れの策を思いつきました。
 ちなみにカーレンがキャラの一人を庇って重傷を負うのは四章の結末として決まってはいましたが、それがどのキャラかって、初めはラヴファロウのつもりだったのにそれがどんどん脱線してレダンになり、最後には炎塔が狙っていたのは実はカーレン本人だった、という無茶な結論に五章で落ち着いてしまいます。

 それに並行して、カーレンの親探しが進んでいました。
 三章でまたしても考えなしに設定を作ってしまったので、あり得るのはロヴェだろうなと思ってました。そこからルヴァンザムとロヴェの不和説が持ち上がります。いやまぁ前から怪しかったですけど。
 ロヴェは五章までは敵か?味方か?という微妙ポジションに立ってもらう予定だったので、理由を隠し隠しにしていると風癒ですらすごく行動が読みにくいキャラになりました。一番予想外の方向に行ってくれたのは最終的に生き延びた事、ですけども。
 ……死ぬ予定でした。カーレンに愛していると言われて、笑って殺されて死に、絶望したカーレンはロヴェの最期の願いを叶えるという形でルヴァンザムを殺しに行くというストーリーがありました。最後の最後まで死ぬか生かすか迷いましたが、彼が生き延びた影には、風癒の実生活においてドラアイを読んでくれた友人らの影響があったりします。もちろんその後どうしようという調整に頭をまたしても悩ませる事になりましたが。ラストシーンと書き上げた話との整合中、彼はなぜか最終話の最初だけ登場だったのに最後に新しい子供たちと一緒に颯爽と現れ、本編のタイトルをキーワードとして口にしてしまうという一番おいしい役をかっさらっていきました。
 主人公らを除き、全編通して一番おいしい役所をしていたのは彼とかルティスとかに違いないとか風癒は密かに見つめています。謎で少々お口が悪くて神秘的(?)なキャラというのもあるし、何よりエリックとの掛け合いや五章での裏工作が何だか楽しそうだからでしたが。その先に死があると覚悟しての行動かと思うと、またちょっと違うモノが見える気もします。

 どんでん返しを作るにはー、とか、一番読者にとって盲点そうなのはー、とか、いろいろな条件に見事に当てはまってくれたシスコン兄さん(ついに公認)のセルくんはお疲れ様です。描写不足でほとんど彼の真意は明かされずじまいとなりましたが、作中でカーレンが言っていたように、『将来いつか最期を看取る』という約束をルヴァンザムとしていたようです。(その辺り、五章に伏線としては書いたのですが……とか言い訳)
 さて、セイラックで消えた彼の遺体はどこに……そもそも彼の生死や如何に……?それも最終話やティアとカーレン再会の回であちらこちらに仄めかしてあるので(たぶん)お分かりになるでしょう。ヒントを出すなら、直接的にも間接的にも描写はしていませんが、彼がセイラックから消えたタイミングはある人物と同時でした。分かった方はニヤ、とほくそ笑むもよし、知ってるよと呆れるもよし、ああやっぱりと思うもよし。なるほどーと思う人もいる事を切に希望してみたりします。

 あとはー、そう、続編ですね。ドラアイ2です。別にシリーズを「Dragon 〜」にしても良いんですがそれだと何だかズレがあるんで「Dragon Eye」シリーズと名付けてしまいました。未だにsをEyeの後ろにつけるべきだったかどうかを首を傾げて悩んでいます。うふふふ悩ましい。

 時はDragon Eye完結よりほぼ三年後。
 春も近づいたある日の事です。
 主人公はティアとカーレンからちょっと焦点をずらして、傍観者っていうか、巻き込まれてしまったっていうか、とりあえずちょっとどころかかなり運が悪かったねぇと思うようなとある青年に変わります。

 その名もクロッド・レイロード。さて、彼は若きドラゴンなのですが、ちょっとややこしい家庭環境があったり、数年前に対岸の火事の悲劇を目の当たりにしたりと人生(ドラゴンライフ?)の最初がプチ・波乱万丈です。
 しかし神様は彼にまだまだ試練を課します。数々の運命の出会いをとんでもない形で彼の頭にぶちまける予定だとか。
 出会いの第一発目は少年です。愛称・フュー。彼はこれまたお家事情が複雑な家出っ子でした。
 いろいろ幸薄というか世間知らずなお坊ちゃまの彼を拾ってしまったクロッドは、そこでフューを抱えたまま賊に出くわし、やたらと突っかかってくる少女ルミナに檻の中で出会うという更なる不幸に見舞われます。
 困り果てたクロッド。そこに、ダメ押しとばかりに最後の衝撃的な出会いが訪れるのですが……。
 その出会いによって、いよいよ彼ら『四人』の物語は始まります。
 また物語よりも一年ほど前、シリーズの時系列における空白期間にこれらの出会いの全ての元凶となった第零発目も起こっていますが、それは本編でおいおい明かしていくとしましょう。

 一方、ドラアイ1で主人公組だったカーレンとティアは、三年ぶりにウィルテナトにて再会します。が、ウィルテナトは強力な魔物が跋扈するクラズア山脈の奥地。そんなところに乗りこんで来たにもかかわらず、なぜか彼女は一人だけでした。エルニスやベルとも会って、そこで初めてウィルテナトに来た手段についてティアは言及します。爆弾発言でした。それでカーレンは彼女に三年の間に起こった事を想像してちょっと青ざめます。
 談笑もそこそこに、ティアがウィルテナトで二、三日過ごしていると、別々の所からカーレンとティア、それぞれに宛てて手紙が届きます。カーレンは中央大陸のドラゴンの隠れ里、マールウェイから、ドラゴンの族長の集まりであるアークセンブリに召集されたようでした。
 ティアの手紙は――? しかし手紙を見るなり、ティアは形振り構わずにウィルテナトを飛び出しそうになります。慌てて止める周囲のドラゴンたちでしたが、さて、一体手紙には何が書いてあったのでしょうか。
 ここからまた、もう一つの物語が始まります。


 とまぁ、続編の冒頭紹介(?)もこの辺にして。
 しばらく沈みます。
 これだけあらすじが出来ていても、オムニバスみたいにいろいろな人物のプロローグが登場するので、そこらへんいろいろと調整がありまして……。

 いつ頃とは言えませんが、春までには……ある程度、書けていたらな、と。
 その時にはサイトの目次とかもちょいちょい工事します。来てみてある日目次の様子が変わっていたら、あ、もうすぐだな、とでも思っていてください。
 ではまた、この場で再び皆さんに会える日まで、しばらくさようならです。



 夏空風癒


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